REITと実物不動産のどちらがいいかを考え始めると、つい利回りだけで比べたくなります。けれど、共働き家庭で本当に見たいのは利回りだけではありません。会社に縛られすぎない状態に少しずつ近づくなら、どちらが今の生活に合うのか。その問いの方がずっと大事です。
ここでいう実物不動産は、自宅ではなく投資用の実物不動産です。実物不動産には、借入を使えること、うまく回せば手取りを大きくできる可能性があること、物件を自分の裁量で選べることといった魅力があります。一方で、REITには、少額で始めやすいこと、売買しやすいこと、入居対応や修繕調整のような手間を自分で抱えにくいことという魅力があります。
どちらも正解になり得ます。ただし、「会社依存を下げる」という目的だけで見るなら、最初に近いのは実物不動産よりREITであることが多いです。理由は、自由に近いのは大きく勝つ仕組みより、生活を壊さずに続けられる仕組みだからです。
このページでは、REITと実物不動産を勝ち負けで並べません。流動性、手間、借入、出口、心理的な負荷を比べながら、「いまの家庭にとって自由に近いのはどちらか」を整理します。
SharedTurnでは、資産を「増やす話」だけで終わらせず、今の自由と将来の安心をどう分けるかまで見ることを大切にしています。この記事でも、利回りや夢で選ぶより先に、自分たちの家庭にどの種類の自由が合うかを整理します。
こんな人に向いています
- 会社依存を下げる資産の持ち方として、REITと実物不動産を比べたい
- いきなり物件を持つ前に、流動性や負担の違いを整理したい
- 資産を増やすだけでなく、働き方の自由にもつながるかを見たい
- 夫婦でリスクの感じ方が違い、話がかみ合いにくい
先に結論: 生活を崩さず会社依存を下げたいなら、先に近いのはREITになりやすい
結論から言うと、共働き家庭が会社依存を少しずつ下げたいなら、最初に近いのはREITになりやすいです。
理由は3つあります。
- 少額で始めやすい
- 売りやすく、やめやすい
- 物件運営の手間を自分で背負わなくてよい
自由に近いという言葉を、ここでは「生活の余白を増やす方向に動けること」と置きます。その意味では、REITは大きなレバレッジをかける武器ではなく、家計に無理を入れずに資産の役割を増やしていく道具です。
一方で実物不動産は、当たれば大きい可能性があります。ただ、自由に近づく前に、借入、空室、修繕、管理会社とのやりとり、出口判断といった新しい責任も一緒に増えます。会社依存を減らしたいのに、別の重さを背負い込んでしまうことも少なくありません。
もちろん、すでに物件を見る目があり、借入耐性もあり、多少のトラブル対応を「面倒」ではなく「事業」として扱える人なら、実物不動産の方が合うこともあります。大事なのは、収益性の夢ではなく、生活との相性で選ぶことです。

よくある誤解: 実物不動産の方が本物で、REITは弱いわけではない
実物不動産の話になると、「やはり現物を持つ方が強い」「REITは紙の資産だから弱い」という感覚が出てきます。気持ちはよく分かります。自分の目で見えるものを持つ安心は確かにあります。
ただ、その安心は、同時に責任も抱えます。
たとえば実物不動産では、次のような論点が日常的に発生します。
- 空室が続くかもしれない
- 修繕費が読みにくい
- 入居者トラブルが起こるかもしれない
- 借換えや金利上昇の影響を受ける
- 売りたいときにすぐ売れるとは限らない
これは悪いことではありません。実物不動産とは、投資であると同時に小さな事業でもあるからです。つまり、「強いか弱いか」ではなく、「自分がその事業を持つかどうか」の問いになります。
REITはその逆で、物件運営の細かい責任を自分が直接は持ちません。代わりに、自分で工夫して利回りを引き上げる余地も小さいです。ここを弱さと感じる人もいますが、共働き家庭ではむしろ、その手間の小ささこそ価値になることがあります。
自由に近づく方法は一つではありません。大きく勝てる可能性がある方が、必ずしも生活に合うとは限らない。そこを一度切り分けた方が、選択はかなり落ち着きます。
REITと実物不動産は、どちらが会社依存を下げやすいのか
ここは、利回りではなく会社依存という軸で見た方が分かりやすいです。
1. 流動性
REITは、値動きはありますが、売りたいときに比較的すぐ動けます。少し減らす、少し増やすという調整もしやすいです。これは、「今の会社が苦しいから資産の持ち方を少し変えたい」と思ったときに効きます。
実物不動産は、売るまでに時間がかかります。価格交渉もあります。想定どおりの値段で出られないこともあります。自由に見えて、出口ではむしろ不自由です。
2. 手間
REITは、物件の管理そのものを自分で回しません。家事や育児、仕事で手がいっぱいの家庭には、この「自分で抱えない」ことが強いです。
実物不動産は、管理会社を入れても完全には放せません。問題が起きたときに判断は残ります。忙しい家庭では、この判断コストがじわじわ効きます。
3. 借入
実物不動産の魅力は借入を使えることです。自己資金だけでは届かない規模に行けるので、うまくいけば資産形成は速いです。ただし、借入は自由を増やす道具であると同時に、不安を増やす道具でもあります。
住宅ローンを抱えている共働き家庭にとって、追加の借入が心理的にどれだけ重いかは軽く見ない方がいいです。数字の上では回る計画でも、夜に安心して眠れるかは別問題です。
4. 出口と税制
REITは日々の価格で評価されやすく、売却の意思決定も比較的シンプルです。実物不動産は、購入時だけでなく売却時にも仲介、税、修繕、原状回復、相場のタイミングが絡みます。
つまり、実物不動産は入口で夢が見えやすいぶん、出口で現実に戻されやすい。ここを面白いと思える人には向きますが、静かな自由を作りたい家庭には重いことがあります。
会社依存を下げる設計としては、「先にREIT、後で実物」も十分あり得る
REITと実物不動産を二者択一で考えなくてよい、というのも大事な点です。
たとえば、
- まずはNISAで老後の土台を作る
- 次にREITで毎月の安心の感覚を試す
- そのうえで、なお実物不動産に向くかを考える
という順番もかなり自然です。
この順番の良さは、いきなり大きな責任に飛び込まずに、自分が何に安心を感じるのかを確かめられることです。毎月の分配金が欲しいのか、物件を育てる感覚が欲しいのか、借入を使った規模感に魅力を感じるのか。そこが見えてからでも遅くありません。
逆に、実物不動産に向く人もいます。たとえば、
- 物件を見ること自体が苦ではない
- 修繕や空室の問題を事業として扱える
- 借入リスクを数字で冷静に追える
- 売却まで含めて長く考えられる
こういう人には、REITより実物不動産の方が合うことがあります。ただ、その適性を「利回りが高そうだから」で飛ばしてしまうと、自由より先に疲れが来やすいです。
いま第三者を使う価値があるのは、こういうとき
次の状態なら、実物かREITかを感覚で決めないために外の整理役が役立ちます。
- 実物不動産のほうが本物という思い込みが強い
- 融資、管理、空室、流動性を同じ紙に置けていない
- 夫婦で背負ってよいリスク量の感覚がずれている
- 会社依存を下げたいのに、逆に固定費と責任を増やしそうで怖い
第三者を使う意味は、どちらが優れているかを断定することではありません。自分たちの家庭にとって、どの選択肢が自由と安心を増やしやすいかを比較できるようにすることです。
向き不向きを整理したあとに見る候補
ここで置きたいのは、実物不動産を勢いで勧めるための導線ではありません。REITと投資用の実物不動産の向き不向きを整理したあとに、次の一歩を考えるための候補です。JPリターンズ は実物不動産の相談寄り、ファイナンシャルアカデミー は不動産や資産設計を学び直す寄りの入口として見ると噛み合います。
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| 実物不動産側の情報を見たい | JPリターンズ | 実物不動産側の候補 | REITとの違いを整理したうえで、実物不動産の考え方や入口も見たい |
| 先に資産全体の役割を学び直したい | ファイナンシャルアカデミー | 学習系の候補 | 実物不動産に進む前に、定期収入資産の役割や前提を言葉にしたい |
ここで重要なのは、利回りや夢だけで選ばないことです。「向き不向きの比較 → 役割整理 → 必要なら実物不動産側も確認」の順に置く方が、このページの役割に合います。
まずやること
このテーマでまずやることは、利回り比較ではありません。自分が欲しい自由がどの種類かを書き出すことです。
- 毎月の安心が欲しいのか
- 将来の資産規模を大きくしたいのか
- 自分で運営する余力があるのか
- 借入を増やしても眠れるか
- すぐ動ける方が安心なのか、時間をかけて大きくしたいのか
この5つを書き出すと、REITと実物不動産のどちらが自分に近いかがかなり見えてきます。
今の生活を壊さずに会社依存を下げたいなら、まずはREITのように調整しやすいものから考える方が自然です。逆に、事業として持つ覚悟があるなら、実物不動産を検討する意味が出てきます。
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ご利用にあたって
この記事は、筆者の経験や考えをもとに、家庭設計の視点を整理したものです。住宅、教育、投資、保険、税・社会保険、働き方、各種サービスの条件は、ご家庭の状況や時点によって大きく異なります。最終判断は、最新の公式情報とご家庭の状況を確認したうえで行ってください。


